【書評】「マンガでわかる管理会計~はじめてでもわかる儲けのからくり」で直感経営から抜けだそう

マンガでわかる管理会計~はじめてでもわかる儲けのからくり~

出品すべきか、それともやめるべきか…

さくら製菓の社長、佐藤杏一郎は頭をかかえていた。

銀行に勧められ、新工場を建設し、売上の拡大を図ったものの、直後のリーマンショックで売上は激減。
景気が回復した後も糖質制限ブームで売上は伸びなかった。

そこへ追い打ちをかけるように、新型コロナウイルス感染症だ。
今、自粛によって売上は壊滅的なダメージを受けている。

工場建設のための融資の返済も滞っているし、銀座のデパートからの撤退も検討中なのだ。

そんな中、銀行から工場の操業率を上げるために横浜のスイーツフェアへの出品を打診された。

銀行から提示された条件は、饅頭10万個の買取オーダー。
ただし、大きな問題がある。

原価80円、定価100円の饅頭を60円で販売するといわれたこと。
これでは原価割れしてしまう。

ただ、今は銀行への返済も控えている。
この条件でもスイーツフェアに出品すべきなんだろうか…

さて、こんな状況だったら、あなたはフェアに出品しますか?
それとも出品を見合わせますか?

管理会計とは

「会計」といえば、決算や納税、銀行から融資を受けるためにやる面倒くさいもの。

そんなイメージがありますよね。

これは「財務会計」といって、社外に向けて数字を見せるためのものです。

 

それに対して「管理会計」は、

利益を最大化する、あるいは損失を最小化するためには、どの選択肢がいいのか

を数字をもとに評価するためのツールです。

 

今は、ビジネス環境があっという間に変化する時代ですよね。

だからこそ、管理会計の重要性が高まっているんです。

 

直感より数字

例えば、冒頭で紹介した「フェアに出品すべきかどうか」について、管理会計の考え方を見てみましょう。

条件は以下の通りでした。

  • 饅頭10万個を販売
  • 値段は60円(原価は80円)

要は、売れば売るほど赤字になってしまうという条件です。

 

「赤字になるからフェアには出品しない」

それが普通の感覚ですよね。

 

ところが、次の表を見てください。

(単位:万円)

A案(出品する)B案(出品しない)A案とB案の違い
売上6000600
原材料費3000△300
人件費1001000
経費4004000
利益△200△500300

※「マンガでわかる管理会計: はじめてでもわかる儲けのからくり」より引用

なんと!
出品するほうが300万円も損失が少ないという結果となっていますね。

直感に頼った判断をしていると、こういう落とし穴に落ちることはよくあります。

 

直感に反する正しい選択を見つける。

これこそが、管理会計を学ぶ価値なんです。

 

ただ、管理会計を専門書で学ぼうとすると、専門用語と計算式、数字の羅列に圧倒されて、なかなか理解するのが難しい分野でもあります。

 

そこで本書は「経営難に悩む和菓子メーカー」舞台に、

  • ストーリーはマンガでサラッと読める
  • 事例は、数字を単純化されている

など、管理会計の考え方が理解しやすくなるよう工夫されています。

マンガでわかる管理会計 ストーリー部

本書で学べること

冒頭に紹介した「フェアに出品すべきかどうか」だけでなく、ビジネスでは、難しい判断を迫られる場面が多いですよね。

例えば以下。

  • 売上を増やすために増産したい。いったいどの商品を増産すべきなのか。
  • 売上や販売個数などの目標値をどう立てるのか。
  • 販売数を増やしたい。そんな時、値引きおまけのどちらが良いのか。
  • 収益を改善するために、どこに手をつけたら良いのか。
  • 新商品を開発したい。製造自社でやるべきか、外注化するべきか。
  • など

 

本書はそんなときに、「直感に頼らず、数字で根拠をつくる」という管理会計の考え方が学べる一冊です。

 

最後に

僕自身、フィリピンのセブ島にある子会社の管理を任されている手前、管理会計を多少は理解していたつもりですが、

  • 計算方法の元になった考え方
  • 別の視点での切り口

などを改めて理解・整理することができました。

 

本書は、経営者にはもちろんですが、

  • 部門を管理されている方
  • プロジェクトを管理している方

にも、経営層に刺さる説得をする。

そのために、企画やプランに説得力と根拠を持たせるという観点から、お勧めしたい一冊です。

 

今回、冒頭でご紹介したストーリーを読んで「フェアには出品しない」と思ったなら、ぜひ本書を手に取ってみてください。

管理会計の「はじめの一歩」が踏み出せるはずですよ。

 

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本書「マンガでわかる管理会計~はじめてでもわかる儲けのからくり」は税理士でもある、著者の 原 尚美 先生より献本いただきました。

書籍情報

【タイトル】マンガでわかる管理会計 はじめてでもわかる儲けのからくり
【著者】  原尚美 (著), 鎌尾こんぶ (作画), ウェルテ (制作)
【読了時間の目安】2時間~

目次

はじめに
1章 管理会計で意思決定する

  • 1-1 ビジネスにおける意思決定とは
  • 1-2 埋没原価と機会原価
  • 1-3 変化するものとしないもの
  • 1-4 限界利益 力をいれるべき商品はどれ?
  • 1-5 財務会計と管理会計の違い

2章 損益分岐点分析の基本を知る

  • 2-1.損益分岐点分析 ~未来の数字を予測する~
  • 2-2 損益分岐点図を作ってみよう
  • 2-3 目標利益を達成するために必要な製造・販売個数を計算してみよう
  • 2-4 値引きかおまけか
  • 2-5 売れ残りがある場合の損益分岐点
  • 2-6.ボトルネックがある場合の損益分岐点

3章 管理会計で現状を分析する

  • 3-1 固定費と変動費はどうやって分ける?
  • 3-2 最小二乗法
  • 3-3 変動損益計算書を作る
  • 3-4 変動損益計算書から、損益分岐点売上を計算する
  • 3-5 管理会計で利益アップをはかる方法

4章 管理会計でコストダウンする

  • 4-1 原価計算の基本を知ろう
  • 4-2 標準原価計算とは
  • 4-3 原価差異を分析する
  • 4-4 活動基準原価計算(ABC)とは

5章 管理会計で新規事業を検討する

  • 5-1 安全余裕率と損益分岐点分析
  • 5-2 利益を生むために必要な視点とは
  • 5-3 投資の回収可能性を検討する
  • 5-4 投資の回収期間で判断する(回収期間法)
  • 5-5 投下した資金のリターン率を計算する(投下資本利益率法)
  • 5-6 キャッシュの持つ時間価値とは
  • 5-7 時間価値を考慮して回収金額を計算する(正味現在価値)
  • 5-8 時間価値を考慮して利回りを計算する(内部利益率)

エピローグ 数字だけにとらわれるな

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