【タイトル】Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]
【著者等】 のんくら(早川 修) (著), a-ki (著), 石田 健介 (著), 染谷 昌利 (著)
【読了時間の目安】 2時間~
え?また、アドセンス本?
その気持ち、解ります。
この手のマネタイズ本はたくさん出版されていますしね。
でも、ネットで話題になってる。
けど、なんで?
Twitter上では、通称「のんくら本」として盛り上がっていますので、その感覚も解ります。
僕も著者のみなさんを存じあげなければ、そう思っていたでしょうね。
もちろん話題になるからには、それ相応の理由があります。
また、本書が「ちまたにあふれた」アドセンス本だったら、知人の書籍だからといってレビューは書いてなかったと思います。
(逆に言えば、レビューを書くに値する良書だったということですが)
そこで「本書は他のアドセンス本と何が違うのか」を中心に、本書の魅力についてご紹介したいと思います。
本書はサイト構築の戦略本である
本書のタイトルは「Google AdSense マネタイズの教科書」ですが、帯に目を向けると「プロが教える10年先も安定して稼ぎ続ける50の王道」とありますよね。
そう、本書の根底にある考え方は「安定」。
検索エンジンの変動が激しい昨今で「安定」を目指すための、
- テーマ選び
- 読者選び
から始まり、
- SEOとキーワード選び
- リピーターの獲得
- サイトの構築方法
など、長期的に安定して稼ぎ続けるための考え方が中心になっています。
これは、テクニックが戦術だとすれば、本書は戦略を指し示す書籍だということ。
サイトを分析すれば表面上で使われているテクニックは解りますが、根っこにある戦略はなかなか見えません。
また戦略が開示されることも滅多にありません。
その貴重な戦略を開示してくれている。
まさに「マネタイズの教科書」というタイトルに相応しい内容です。
この点だけを見ても本書が、これまでのアドセンス本とは違うというのがお解り頂けますよね。
サイト設計の考え方が根本的に違う
更に言えば、本書はサイトの設計に対する考え方が根本的に違います。
これまでのアドセンス本の多くは、「とにかくアクセスが集まる記事を書く」ところから始まりますよね。
これに対して本書は、
- 「記事単体」ではなく「サイト全体」で勝負する。
- 「読まれる」ではなく「使われる」サイトを目指す。
- 「書き続ける」ではなく「完成図」がある。
など、そもそも一般的な アドセンス ブログ とは目指しているゴールが違います。
本書では、このゴールを次のように表現しています。
自動販売機のように放っておいても自動で稼いでくれるサイト
実に魅力的な響きですよね。
本当にそんなサイトが作れるの?
そう思うかもしれませんが、著者のお二人にとっては普通のことのようです。
【のんくらさん】
やり方さえ間違わなければ、仮にアドセンスだけでも100ページもあれば月50万はいくよ。これは僕の一つのサイトだけど100ページほどしかない。こういうサイトを50個作った方がいいでしょ。同じ5,000ページで月2,500万だよ。 pic.twitter.com/LCtaUs2gcP
— のんくら淡路島移住freelancer (@matari39) 2015年12月7日
【a-kiさん】
運営しているギターサイトが今日で17周年を迎えました。https://t.co/oCZOtDOJ84
ブログと違ってずっと記事の追加をしてるわけでもないので、長く存続してるから偉いわけでもなんでもないですが。— a-ki (@akisfactory) 2017年7月14日
「サイトを長期的に安定させる」はAdsenseに限った話ではない
本書は Google AdSense を収益源に設定し、Adsenseで収益を挙げるための戦略に特化しています。
ただ「放っておいても長期的に安定してくれるサイト」という観点だけでなく、
- トップページから目的の記事をストレス無く見つけられ、そこに移動できる。
- 何度も繰り返し訪問して貰える。
- 決まった出口を設定する。
という本書の設計思想は、アドセンスに限った話ではありません。
むしろ、サイト運営に割けるリソースが限られている個人や中小企業では、重要な視点ではないでしょうか。
もちろん、中小企業のビジネス用サイトは、
- 自由にテーマ選定できない。
- 収益源がアドセンスではない。
- 広告をクリックして貰うのがゴールでは無い。
などの違いはありますが、どうすれば本書のノウハウを応用できるのか、一度検討してみる価値はあると感じました。
あえて「惜しい」点を挙げるなら
以上、本書の良いところばかりを述べてきましたが、著者が「知人だから」と思われそうなので、本書の惜しいと思うところも挙げておきます。
設計思想はブログと相性が悪い
1点目は「サイト設計に対する考え方」です。
本書の根底にあるサイト設計に関する考え方は、日々の体験や感じたことを書いていく、いわゆるブログスタイルではありません。
(もちろん、この設計思想が悪いという意味ではなく)
現在、ブログを運営されている場合、すぐに採り入れられるのは「CHAPTER_4:AdSenseの運用方法」くらいでしょうか。
本書をよく読み下して頂ければ、応用できそうなヒントは散りばめられていますが、
- トップページの変更
- カテゴリーのコンテンツ化
といった表面的なところだけを真似ても「10年先も安定」は得られません。。。
実践に移すときのハードルが高い
もう1点挙げるとすれば、実践に移すときのハードルが高いという点でしょうか。
「マネタイズの教科書」というタイトルですが、本書は戦略を中心に解説した書籍なので、逆に言えば、テクニックに関する記載は多くありません。
また、ステップバイステップで作業手順を教えるような構成でもありません。
これは、サイト運営の経験が浅い方や、ブログ型のサイトしか作ったことが無い方には実践に移すまでのハードルが高いということですよね。
もちろん製本である以上、紙面の都合もありますので、致し方ないことなんですが。
実践に移すためのアドバイス
本書の内容を実践に移したい、でもちょっと難しい、という場合のアドバイスをするとすれば。
まず「設計をどう進めて行けば良いか」については、本書と併せて以下を参考にするとイメージしやすくなりますよ。
どちらも、ミニサイトづくり職人の和田亜希子さんが手掛けられたもの。
本書とサイト設計の考え方が近く、サイト作成の手順やサンプルサイトも掲載されていますので、参考になる部分が多いです。
また、テクニックについてはネット上に溢れていますよね。
ですので、
- 自分で検索して調べる。
- テクニック本を読む。
などで十分に補えます。
書籍は、書評を書いていますので、そちらも合わせてご参照ください。
【書評】ミニサイトをつくって儲ける法 ~ほったらかしでも月10万円!(和田亜希子 著)
【タイトル】ミニサイトをつくって儲ける法 ~ほったらかしでも月10万円!【著者】 和田亜希子 (著)【読了時間の目安】2時間~ミニサイトで儲ける。何とも魅力的な響きですよね。規模の小さなサイトで10万円も儲けれるなら、コスパ良い!なんとな
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最後に
以上の通り、いくつか惜しい点も挙げさせて頂きましたが、本書は「マネタイズの教科書」という名に相応しく、それらの「惜しい点」を補って余りある良書です。
できれば、
- これからサイト運営を始める初心者
- ブログタイプのサイトしか運営したことが無い方
にこそ、読んで欲しい内容でした。
ただ、初心者には理解するのが難しい部分が多いかもしれません。
お勧めする側としては、なんともジレンマを感じる1冊ですね。
以上、参考になれば幸いです。
追記①
著者の1人、のんくら(早川 修) さんが「Google AdSense マネタイズの教科書」の書評を、ご自身のサイトでまとめて下さっていますので、そちらも併せて参照してみると良いですよ。
参考:Google AdSenseマネタイズの教科書(のんくら本)の書評まとめ[完全版]
追記②:のんくら本フォローアップセミナー
先日、本書「Google AdSense マネタイズの教科書」のフォロアップセミナーに参加してきました。
書籍の解説に留まらず、より拡がりのある話が聞けましたので、興味があれば「参加レポート」を読んでみてください。
のんくら本セミナー(正式名:Google AdSense フォローアップセミナー)。やはり、内容が気になりますよね。 セミナーが開催されるたびに、盛り上がってるし。 Twitterに流れてくる参加者のコメント、参加レポートを見ると、けっ
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目次
- CHAPTER_1:長期間アクセスが集まり続ける「テーマ」の選び方
- CHAPTER_2:アクセス数を安定させる「SEO戦略」
- CHAPTER_3:読者にも検索エンジンにも好まれる「サイト構築法」
- CHAPTER_4:稼ぎ続けるための「AdSense」の運用方法
- CHAPTER_5:「オーソリティーサイト」になって信頼と権威を積み重ねよう
- CHAPTER_6:10年先も安定して稼ぐために