バタンガス-
ここはフィリピンの首都マニラから、更にバスで揺られること3時間のところにある港町だ。
バスから降りた途端、焼けつく日差しと、砂ぼこりとサビが浮いた車が吐き出す排気ガスが入り混じった独特のにおいに、頭がクラクラする。
(やれやれ。セブのオフィスに居れば、エアコンの効いた部屋でゆったり仕事ができるというのに。。。)
一瞬、そんな想いが頭をよぎったが、気を取り直してさっさと「仕事」を済ませることにした。
ここから先は、まともな交通手段さえない。
目的地である「取引先の地方事務所」まではトライシクル(フィリピン流のバイクタクシー)の固いシートに耐えることになる。
少し憂鬱になったものの、走り出してすぐ面白い光景に出会う。
田舎町だけあって、道路わきにはヤギが放し飼いにされている。
お次はニワトリか。。
こうした のどかな景色 はトライシクルの固いシートや、砂ぼこりと排ガスのにおいを暫しのあいだ忘れさせてくれる。
そうやって気を紛らわせている内に目的地に到着した。
(やれやれ、やっと着いたか)
と、突然振り出す豪雨。
側溝さえ整備されていない道路はあっという間に泥水に覆われる。
僕は慌てて取引先の事務所へと駆け込んだ。
なぜ、僕がわざわざ「こんなところ」までやってきたのか?
そう、それが今日のテーマだ。
なぜ、わざわざフィリピンの地方都市に行ったのか
という訳で、週末の休暇を返上して「バタンガス」というフィリピンの地方都市を訪問してきました。
なぜか。
あ、もちろん「会社からの指示」じゃありませんよw
(上司からの指示で動くステージは卒業しました)
現地に赴くには時間もお金もかかります。
その上、セブに比べれば治安もかなり悪い場所です。
それでも、あえて自分の意志で現地へ行く。
その理由は「体験するため」です。
現地がどんな環境で、どんな人々がいて、どんな生活を送っているのか。
こういうことを「肌感覚」としてつかむ。
これが重要だと思うからです。
ちなみに「フィリピンの市長が狙撃された」というニュースが流れましたが、あれは同じバタンガス州での事件です。
セブに戻った翌日だったのでさすがに驚きましたね。
参考:フィリピン・タナウアン市長が狙撃され死亡 TBS NEWS
なぜ体験が重要なのか
なぜ体験が重要なのか。
冒頭の文章を読めば、
- マニラからバスで3時間
- 砂ぼこりと排ガスの臭いが酷い
- まともな交通手段がない
- ヤギやニワトリが放し飼いにされているような田舎町
- 側溝が整備されていないため雨が降ると道路は冠水する
といった事は解りますよね。
現地にはセブのスタッフが定期的に訪問しているので、その報告を聞けば上記のような事ぐらいは十分に知ることが出来るわけです。
それでも『あえて』現地に赴く理由は3つあります。
知識と「肌感覚」には埋められない差がある
1つ目の理由は、「肌感覚」として理解したいから。
報告を聞いて得られるのは「単なる知識」に過ぎません。
例えば「砂ぼこりと排ガスの臭いが酷い」と聞けば「なるほど臭そうだな」と何となく想像はできます。
でも、自分の鼻で実際にその臭いを嗅いでみなければ、本当の臭いは分かりませんよね。
(実際、想像以上の臭いでしたw)
もちろん人から聞いた内容も情報として間違っているわけではありません、でも正確ではない。
要するに「伝聞情報」とは、大部分を想像で補った「空想」に過ぎないということですね。
人から聞いた記憶は薄れる
2つ目の理由は「記憶」です。
冒頭の文章でフィリピンの田舎町の情景をお伝えしましたが、その情報を「いつまで覚えている」と思いますか?
恐らく3日もあれば、この記事を読んだことさえ忘れてしまうでしょう。
伝聞として得た「知識」は、それくらい記憶に残りにくいものなんです。
それに比べて、実際に体験したことは、そうそう忘れることはありませんよね。
(特に今回のように刺激的な体験であればあるほど)
書かれなければ、知ることさえない
3つ目の理由は、「伝聞による情報の欠落」です。
人に何かを伝えようとしたら、自然と自分の解釈が入りますし、伝える内容にもフィルターをかけますよね。
例えば、冒頭の文章。
あそこに僕が見てきた情景が全て記載されていると思いますか?
そんなことは有り得ませんよね。
港には、入口の前に並ぶ屋台、入り口からゲートまでの間にズラっと並んだ売店や人でごった返すエントランス。
ホテルはどうでしょう?
客室は、古びた小部屋にベッドと小さなテーブルを置いただけ。
アメニティなんて置いてあるハズもなく。
狭いトイレの脇に申し訳ていどに設置してあるシャワーは、浴びれば便座までびしょ濡れにしてくれる。
そんな情報は、僕がここに書かなければ、あなたの意識に挙がってくることさえ無いですよね。
体験することで得られるもの
以上の通り、
- 知識と「肌感覚」には埋められない差がある
- 人から聞いた記憶は薄れる
- 書かれなければ、知ることさえない
これら3つの課題を解消するためには、いくら不便でも、無駄に労力がかかっても、実際に現地に赴いて自分自身で体験する必要があります。
もちろん全ては、
ビジネスを成功させるため
です。
僕がこの事業に携わる前にも、「フィリピンの現地ビジネスを軌道に乗せよ」という命を受けたマネージャーが数人いました、
でも、誰も売上を増やせなかった。
(ほんの数パーセントさえ。。。)
それに対して、僕が専任マネージャーになって以降は、
前年比で約5倍
の売上拡大を果たしています。
この違いは何か。
それは、報告書で上がってきた伝聞情報で判断するか、現場に赴いて自分で体感したリアルな情報で判断するか。
その違いです。
ジェームス・W・ヤング氏は「アイデアの作り方」という本の中で、こう言っています。
アイデアは既存の知識などを組み合わせることにより生み出される。
そして、ビジネスもマーケティングも、たった1つのアイデアで結果に圧倒的な差が生まれるもの。
だからこそ、
ほんの些細なアイデアの欠片も取りこぼせない
それが、休暇を返上して、時間、お金、労力をかけてでも、遠く離れた治安の悪い田舎町に赴いた本当の理由です。
逆に言えば「この感覚」が無い人間に負けるわけがない。
そういう自負もあります。
最後に
これは何もビジネスに限ったことではありません。
例えば、情報発信はどうでしょう。
ネットに転がっている情報を集めてコンテンツにしたところで、人の心が動かせるでしょうか?
(SEO的には別の要素もありますが)
どこかで読んだありきたりな記事で成功しようと思ってないでしょうか?
それで成功しようと思う方が無理があると思いませんか?
ビジネスが上手くいかない。
マーケティングが上手くいかない。
セールスが上手くいかない。
ブログが上手くいかない。
そう感じている方に改めてお伝えしておきます。
成功したければ「現場」へ行け。
以上、参考になれば幸いです。